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【C20、L20、T20、W20、Y20】仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する共同声明

2019年6月5日

C20、L20、T20、W20、Y20による仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する共同声明(仮訳)

 

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2018年のG20首脳宣言において、G20の首脳は「ジェンダー平等は、経済成長及び公正で持続可能な発展のために極めて重要である」ことを確認しました。宣言ではまた、「全ての人々にとっての労働環境の改善」と「女性と少女に対するあらゆる形態の差別及びジェンダーに基づく暴力を終わらせることを目的としたイニシアティブの推進」に対するコミットメントも示されました(1)
 

G20の首脳宣言におけるこれらの文言は、#MeTooなどの運動に続くタイムリーなコミットメントと言うことができます。これらの運動は、仕事の世界で構造的差別と不平等を経験している女性や他の人々が直面する体系的で制度的な暴力、ハラスメント、差別を明らかにしました。
 

G20の公式エンゲージメントグループであるC20、L20、T20、W20、Y20は、言葉を行動に移すよう、G20 に求めます。

●ジェンダーに基づく暴力を防止し、対応し、監視するために必要な資源を増やす。ジェンダーに基づく暴力の根本原因に取り組み(これには少年や若い男性と共に有害なジェンダー規範や固定観念を撤廃し、複合的な脆弱性に対応することを含む)、草の根の運動や諸団体と連携し,成功事例の規模を拡大して実施する
●仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関するILO条約及び勧告の採択を支持し、条約と勧告に、強力で、人権基準に合致した、包摂的な文言が含まれるよう働きかける

構造的差別と不平等を経験している女性や他の人々に対する暴力とハラスメントは、社会に深く根ざした不平等と有害なジェンダー規範の表れであり、国家の強力な立法、政策、監視メカニズム、救済手段の欠如により、状況はさらに悪化します。これは仕事の世界にも影響します。仕事の世界では、構造的差別と不平等に直面する女性や他の人々が、不均等に暴力とハラスメントを経験しています。これらの人々は、インフォーマルで不安定な雇用状態(たとえば在宅または家事労働者)にあることが多く、そして、しばしば複合的な脆弱性を経験します。なぜなら、これらの人々は、仕事の性質とアイデンティティに対する有害な態度により、仕事の世界における暴力とハラスメントにさらされやすいからです。


ドメスティック・バイオレンス、親密なパートナーによる暴力(IPV)、セクシュアル・ハラスメントを含む女性に対する暴力(VAW)は、仕事の世界に著しく影響します。国連女性差別撤廃条約(CEDAW)は、女性に対する暴力を差別の一形態と認識しています。IPVは「労働者の生活と(中略)企業の生産性、そして国民経済にマイナスの影響をもたらすことが明らかであり(2)、労働者の健康、安全、効率に対しても著しい経済的、社会的な悪影響をもたらします(3)。G20各国は、協力して公的、私的空間の両方における暴力とハラスメントの根本原因に取組むべきです。加えて、暴力とハラスメントを防止し、状況を改善し 、その影響を緩和するために、資源を増やし、強力な立法、政策、監視メカニズム、救済手段を実施するべきです。
 

最初の重要な一歩として、G20各国は、2019年6月の国際労働機関(ILO)総会に提出される仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関するILO条約と勧告を採択し、批准すべきです。その際には、G20各国は、労働組合、市民社会組織、女性団体と協議しながら、ILOの文書に、強力で、人権基準に合致した、包摂的な文言が含まれるように働きかけ、仕事の世界で暴力とハラスメントを受けるリスクが最も高い人々が、条約によって守られるようにしなければなりません。G20各国はまた、すべての労働者の権利を守り、不平等を存続させるシステムをなくすために、既存のILO条約と人権諸条約を批准し遵守すべきです。

 

(1) G20. G20 Leaders’ declaration: Building consensus for fair and sustainable development, 2018.
(2) International Labor Organization, Conditions of Work and Equality Department. Background paper for discussion at the Meeting of Experts on Violence against Women and Men in the World of Work, 2016.
(3) UN Women. Ending Violence against Women Facts and Figures, accessed May 2018.